一聖工房とは

当工房では、駒木地の成形という「木地師」の作業から、駒を彫って漆を塗る「彫師」の作業まで、一貫して製作しております。

木地の成形の段階から、書体や盛上など、駒の完成形をイメージして作ることができます。
「機械彫りですか」と聞かれることもありますが、写真の通り、すべて印刀1本での手彫りです。

「一聖」の銘では、木地成形の段階から、大ぶり・小ぶりや木地の種類、斑や杢など、お客様のご要望にお応えして作成いたします。
駒木地の種類としては、御蔵島天然木、薩摩黄楊、貝塚伊吹などを在庫しております。
こちらのホームページでは、現在完成駒の販売を行っておりますが、今後、駒木地からオーダーメイドでの製作も承るようにしていく予定です。
木地成形の段階から要望を伺うことはできませんが、お好みの駒木地から、ご希望の書体や彫りなど、思いをめぐらせていただけましたら幸いです。

書体につきましては、四代書体である「菱湖、水無瀬、源兵衛清安、錦旗」をはじめ、31の書体の製作が可能です。
特に「俊則」書は、昔作られていた書体を、その魅力にひかれた私が復活させたもので、思い入れもあります。
詳しくは駒の種類駒の書体「俊則」書の復活をご覧になってください。

お客様にご満足いただけるよう、技術的にもたくさんのこだわりを積み重ねて製作しております。
技術的な内容にもご興味がある方は、以下の『一聖工房オリジナル製法』、『一聖工房の製作工程』をご覧になってください。

完成駒も、駒木地からのオーダーメイド駒も、この世で一組しかない駒です。
皆様にお喜びいただける、世界でただ一組の駒が、このホームページで見つかりましたら、これに勝る喜びはございません。
どうぞよろしくお願いいたします。

一聖工房 一聖

一聖工房オリジナル製法

伝統の製法と漆の新技術を融合!
3つの技術で、自然な駒木地を残しつつ、はがれにくく、すり減りにくい、美しい漆に!

  1. 昔ながらの木地処理で、木の自然な見た目と触感が駒に残ります!
    「彫埋駒の作成」や「盛上駒の下処理」の際、漆が木地ににじみ出ないようにするために、近年では駒木地の表面に「目止め(ニス塗)」をすることが増えました。
    しかし、目止めをすると、駒の表面から、木の自然な色合いや触感が失われてしまいます。
    一聖工房では、目止めを行わず、磨く回数を多くして、木の導管をつぶすことで、にじみを防ぎます。
    これは、昔ながらの伝統的な製法で、豊島竜山氏、影水氏、静山氏らも用いている手法と同じです。
    手間と時間はかかりますが、駒に木の自然な見た目と触感が残ります。
  2. 輪島産の漆と天然素材を用いた「サビ漆」で漆がはがれにくい!
    盛上駒を作る際、彫った溝に「サビ漆」を塗ることで、盛り上げる部分の下地を作ります。
    一聖工房では、このサビ漆を、輪島産の良質の漆と、マル秘の天然素材を混ぜて作成しています。
    これは、輪島の漆職人の方からご教示ただいた技術で、駒木地と漆がはがれにくくなっています。
    盛上駒では、構造上「漆の剥離」が起こりやすいのですが、その心配をせずにお使いいただけます。
  3. 数種類の呂色漆を季節に合わせて使い分けることで、表面が自然ですり減りにくい漆に!
    盛上駒では、駒を盤上に指したり、横移動させたりすることで、漆がすり減ってしまうことが見受けられます。
    盛上部分の漆は、乾きの早い梅雨時などに乾く早さを遅らせて内部までしっかり乾かせるため、乾きの遅い漆を混ぜる手法が使われることがあります。しかしこの方式だと、乾燥にばらつきが出て、しわがでることも。
    一聖工房では、乾く特性の違う数種類の呂色漆(ろいろうるし)を用意し、季節に合わせて使い分けます。これにより、漆の表面にしわが出ることなく、自然な美しさを保つことができます。漆の特性を活かしてゆっくり乾かすことで、弾力性を維持したまま強度が増します。
    漆のすり減りを気にせず、自然な漆の美しさを保ったままで、対局に使って頂くことができます。

一聖工房の製作工程

駒師によって書体にはわずかに違いがあります。
書道の経験もあり駒作りに生かせれば幸いと考えています。
特に盛上駒に関してはハネ、ハライに気を配り厳しい線に心がけています。

「彫、彫埋、盛上」について
(1)彫駒
 彫駒は4.5㎜巾の印刀を使用し彫り進める。

 ⭐️駒表裏は字母紙を貼り裸眼による印刀彫り。
 ⭐️駒尻は顕微鏡×8倍を使用し字母紙は貼らず鉛筆書きした文字を筆書きのイメージで彫る。(写真参照)
 
(2)彫埋駒
 彫終わった駒の彫部をサビ漆で埋める。
 埋める回数は約3回。
 なお、サビ漆は研究を重ね接着強度を上げる工夫をした。
[化学薬品は一切使用せず。]
 一回埋めで乾燥に約1週間
 二回埋めで更に約1週間乾燥
 三回埋めは凹み部位のみ埋めて乾燥
 といった要領で彫埋が完成する。

 完全乾燥を確認後、表面研磨をする。
 面取りは表面研磨と同時に丸みを持たせる方法。

(3)盛上駒 
 彫埋完成品を蒔絵筆にて盛上げていく。(写真参照)
 一組約4〜5日かけて筆書きが完了し室にて漆を乾燥させるが、季節によって乾燥日数はばらつく。